富里市七栄650-2
明治20年、旧下総種畜場(当時は御料局高堀出張所と呼ばれていた)の用地343町歩を岩崎彌之助(三菱財閥二代目)が購入し、農業と畜産事業を予定しますが、地力が弱かったことから松・杉・桧など111万本を植林して三菱社の「下総植林事業所」が設けられました。その後、大正元年に至り、彌之助の甥である岩崎久彌(三菱財閥三代目)によって「末廣農場」が開設されることとなり、養鶏では最高8000羽、養豚では最高1000頭が飼育され、ハム・ソーセージ・ベーコンなどの加工品が生産されていました。
昭和20年、敗戦を迎えた第二次世界大戦の終結から昭和27年にかけて行われたGHQの占領政策により、財閥解体と農地解放が推し進められたことから「末廣農場」は閉鎖への道を辿ることになります。農場の120町歩については当時の富里村に譲渡されることとなり、200町歩については農場従業員の帰農者に払い下げが行われ、残る主な施設は千葉県に譲渡されて「千葉県畜産試験場」として新たな歴史を刻むこととなります。
昭和30年代後半になると、新東京国際空港(現成田国際空港)の建設計画が持ち上がり、昭和46年、千葉県は空港用地の買い上げの代替地として畜産試験場を提供することとなり、久彌の別邸及び庭園の敷地を残し、末廣農場は失われる事となりました。
残された別邸及び庭園敷地は、唯一、末廣農場の面影を残す場所であり、富里市ひいては千葉県における「近代農業発祥の地」であることから、これを顕彰して指定しました。
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