二つの月(ふたつのつき)
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ある晩のことだった。七栄から酒々井に向う途中の比丘林の近くを一人の若い衆が通りかかった。山仕事の帰り道だった。すでに満月が東の空に上り、あたりを明るく照らしていた。
その時、若い衆は、はっと我が眼を疑った。月がもう一つ、むこうの土手の上に輝いているではないか。ふしぎに思って、どんどん近づいてみると、それは大きなちょうちんで、土手の上の松の枝にかかっていたのだ。
威勢のいい若い衆は、土手をよじ登り、松の幹を両手にかかえ、ちょうちんを取ろうと上っていった。
もうひと伸ばしで、ちょうちんの柄に手が触れそうになった時だった。ちょうちんが、ふわりと宙に浮いて、隣りの枝に飛び移った。おかしなこともあるもんだと思って、なおも取ろうとすると、また他の枝にかわってしまう。
むかっ腹を立てた若い衆は、腰にあった鉈をそっと手に持つと、ちょうちんの柄のあたりを打ち払った。そのとたん「ギャーッ」という声がしてちょうちんはパッと消えてしまった。
松の木を降りてみると、根元に妙なものが落ちていた。よくよく見ると、それはたぬきのしっぽであった。たぬきがちょうちんに化けて、月と明るさ比べをしたのだろうか。

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