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旧岩崎家末廣別邸文化財建造物の概要

  • [2020年11月13日]
  • ID:9608

主屋

登録有形文化財番号:12-0167

登録基準:造形の規範になっているもの

種別:住宅(建築物)

年代:昭和2年(1927)頃

構造および形式等:木造平屋建、瓦葺、建築面積491平方メートル

建物の概要: 本主屋は、中庭をもつ大規模な木造平屋の建物で、寄棟(よせむね)・桟瓦(さんがわら)葺きの屋根に銅板葺きの庇(ひさし)を廻した別荘風の外観としていますが、特に瓦屋根の勾配は緩く、また軒先全面に鼻板(はないた)を打って垂木(たるき)の小口(こぐち)を隠すことで、簡素さと水平感をより強調しています。間取りはゾーニングが明快で、正門に近い西側部分に玄関・書生室を配し、その南側に表向きの2つの座敷(西十畳、中十畳)を庭に面して並べ、座敷の入側はさらに東南に矩折(かねお)れに伸びて3つ目の入側付き座敷(東十畳)と最奥部の六畳間へと繋がっています。一方、中庭の北側には台所・配膳室を並べ、その東側は上浴室へと続きます。平面の基準寸法は、すべて柱間真々(はしらましんしん)が6尺の関東間で設計されています。

 主な居室と廊下はいずれも床を畳敷き、壁・天井を伝統的な和風意匠としており、洋風意匠の応接間などは設けられていません。和風意匠の用い方は、主要な座敷(西十畳、中十畳、中八畳、東八畳、東十畳、食堂)の室内意匠に内法長押(うちのりなげし)と猿頬天井(さるぼおてんじょう)を用いて格式の高さを示し、その他の居室は長押を用いず棹縁(さおぶち)も簡素なもので済ませて差をつけています。

 意匠的に最も特徴的なのは外周全面に用いられたガラス障子の意匠で、特に桟の割り付けに独特の特徴がみられます。それはガラス障子の桟の割り付けを見ると、縦桟をガラス幅が3~4ッ割になるように均等に入れ、それに対して横桟を縦桟と同じガラス幅で上下1箇所ずつ(または上部のみ)に入れることにより、正方形格子に区切られた模様がモダンな装飾的効果を生み出しています。このデザインは入側の掃出しガラス障子から便所の窓まで共通して用いられており、主屋を特徴付ける意匠となっています。

 壁の仕上げは座敷まわりの畳廊下と入側にやや青みがかった漆喰(しっくい)を用い、室内は土壁仕上げとしています。土壁の色は、玄関や中十畳・八畳などに聚楽風(じゅらくふう)の黄色味の強い土が使われ、東十畳・八畳と奥の六畳には濃い色の土が使われています。これらの下地には、確認できた箇所ではほぼすべて石膏ボードが用いられており、一部で確認できた製造マークから初期の吉野石膏の製品であることが確認できています。建物の基礎にはコンクリートの布基礎が廻されており、土台をアンカーボルトで繋いでいます。関東大震災後まもない時期の建設でもあることから、当初からの施工と考えられます。

 その他では、電鈴(呼び出しベル)設備、照明器具、厨房器具も撤去されずに残っており、いずれも当時の生活文化について知る上で高い資料価値を持っているといえます。

 以上のように、本主屋は寄棟・緩勾配の屋根、省略化された軒先などで簡素な別荘風の外観を表現しつつ、内部は簡素・上質な伝統的和風住宅をベースに、中庭型の明快な平面計画、モダンな建具意匠、電鈴や照明などの電気設備の導入、石膏ボードやコンクリート布基礎といった近代的工法の積極的な活用と、近代的な要素を数多く備えている点が特徴的であり、昭和初期における上流階級の別邸としての貴重な遺構として高い歴史的価値を持つものと評価できます。

平面図
主屋

書院造りの主屋

東屋

登録有形文化財番号:12-0168

登録基準:国土の歴史的景観に寄与しているもの

種別:住宅(建築物)

年代:昭和初期/平成7年改修

構造および形式等:木造平屋建、亜鉛鉄板葺、建築面積49平方メートル

建物の概要: 東屋は、梁行2.5間×桁行4.5間の矩形平面の建物で、勾配の緩い亜鉛鉄板葺きの入母屋屋根に軒先の深さ3.6尺の土庇を付けた軽快な御茶屋風の建物です。間取りは、庭に面する西側3間を主室とし、東側に1.5間に台所を充てています。床は土間式となっており、室内・庇下ともに小砂利の洗い出し仕上げとし、主室の北壁面に腰掛を設けています。庭に面する南側・西側には内法高が床上6.5尺とやや高い腰板付きのガラス障子を全面に廻し、大きな開口部を取って庭への眺望を確保しています。ガラス障子の縦桟は大きく3ッ割とし、横桟は主屋同様に上下のみとしています。室内には当初のままと思われる洋風家具が置かれており、当時はこの部屋を別邸に欠けていた洋風の応接室として使用していた様子がうかがえます。

 外観・内観はともに材料に野趣の強いものを多く用い、御茶屋風(草庵風)を表しています。つまり、主室では柱に杉の面皮、天井にコブシの皮付き丸太を用い、土庇では柱に曲木、桁・垂木に磨き丸太、軒天井を蒲天井としています。外壁の仕上げはややピンク色の入った漆喰仕上げで、腰板は杉の竪板張りとして簡素に仕上げています。

 このように、東屋は室内・外観意匠のベースに伝統的な御茶屋風の意匠を用いつつ、椅子式で庭園を楽しむために高い内法高のガラス障子を用いるなどの工夫を施した和洋折衷の建物といえます。別邸と一体的に使うことを前提とした、この屋敷の生活様式に不可欠な建物として貴重です。

東屋

数寄屋造りの東屋

石蔵

登録有形文化財番号:12-0169

登録基準:国土の歴史的景観に寄与しているもの

種別:住宅(建築物)

年代:昭和初期

構造および形式等:木造平屋建、瓦葺、建築面積22平方メートル

建物の概要: 石蔵は、桁行3間×梁行2間の一室空間の木造平屋の建物で、屋根を桟瓦葺としています。外壁は木軸の外周に大谷石を壁厚360mmでぐるりと積み廻し、櫛目が縦に入ったスクラッチタイルをモルタルで貼り付けています。スクラッチタイルの寸法は、幅227mm×高さ60mmで、上下の目地幅は10mmです。軒蛇腹の装飾はすべてスクラッチタイルで丁寧に貼り廻し、扉は正面に両開きの鉄製鎧戸と片引きの内戸が、背面に採光用の高窓(両開き扉)が設けられています。小屋組みは1間ごとに建てた柱の上にトラスを架け、内部は壁面を竪板貼り、床を板貼りとして両側面に棚を設けています。

石蔵

スクラッチタイルが鮮やかな石蔵

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