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皿洗い婆(さらあらいばあ)

  • [2013年1月4日]
  • ID:2505

久能に、むかし大きな屋敷跡があった。屋敷跡といっても、うっそうとした竹林だけだったし、古井戸があるというので、めったに人は近づかなかった。

ある夜のことである。近くに住む男が婚礼の席に招かれてたらふく酒を飲み、よい機嫌で近道をしようとして、その屋敷跡のそばを通りかかった。

やみ夜のこととて、ちょうちんを片手に、千鳥足ながら気をつけて足を運んでいた。すると古井戸のあたりから妙な音がする。カチャカチャと固い物の触れ合う音に、人の声のようである。

空耳かと思ってそのまま行き過ぎようとすると、やはりほんとうに聞こえてくる。少々気味が悪かったが、酒の勢いも手伝って思いきってそちらに近づいていった。

井戸のあたりは、ボーっとうす明るくなっていて、そこには、白い髪を振り乱した老婆が、大きな皿を手桶の中で洗っては「一枚・・・二枚・・・三枚・・・。」とうらめし気に数えていた。

そして、ふっと目をあげてこちらをにらんだ。男はそれを見ると、自分も井戸の水を浴びたような心持ちになって、ちょうちんを投げ捨てて駆け出した。

どこをどう通ったのか、やっと自分の家に帰り着いた男はふとんをかぶって寝こんでしまった。熱が出て、三日三晩起きることができなかった。

男が、あとで近所の物知りの爺さんに聞くと、ずっと以前、その屋敷が盛んであったころ、下働きの婆さんが、主人の大切にしている家宝の皿を洗っているうちに割ってしまい手討ちになったことがあるという。

その男だけでなく、その婆さんを見たという人は何人もいた。みんなは「皿洗い婆」と呼んで、前にも増して屋敷跡に近付かなくなったという。

老婆が大きな皿を洗って数えている絵

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