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九頭龍様のお札(くずりゅうさまのおふだ)

  • [2013年1月4日]
  • ID:2496

むかし、実の口には雑木林が多かった。その中のくぼちに小さな隠し田が何枚かあった。

ある日、二人の百姓がやってきて、田の草取りをした。そこだけがぽっかりと穴を開けたように空がのぞいていて強い日差しが照りつけたので、一刻もたたないうちに二人はすっかり疲れてしまった。田から上がって休息することにした。いいあんばいに、がけの上から山桜が、あつらえたように枝を伸ばしていたので、二人はその影に入ってひとねむりすることにした。
年よりの方のお百姓は、たちまち大いびきをかいて寝入ってしまった。若い方は、うとうとしかけたのだが、まわりが静かなものだから、いびきが気になってねむれない。

そこで、若い男はがけの上に上がって、ブッチメというきつねをとるわなをしかけにやぶの中に入っていった。

やがて、もとの場所に帰ろうとがけを降りかけた。そのとたん「あっ」と思わず息をのんだ。一匹の大蛇が、大の字になってねている年よりの男のまわりを、「の」の字を書くように、ぐるりととりまいていた。そして、もたげたかまくびから赤い舌を出して、今にも飛びかかろうとしていた。

若い男が声もなく見ていると、大蛇は何度も何度も年よりのお百姓に食いつこうとするのだが、そのたびに見えない壁にでもぶつかりでもするように、それ以上はどうしても近づけない。

どれくらいの時がたっただろうか。さすがの大蛇も力がつきたのか、のろのろととぐろをほどくと、ズルズル音をたてて、むこうのがけをよじのぼり、林の中へ消えていった。若い男は、がけを飛び降りると、まだ寝ている年よりをたたき起こした。そして今までのことを話した。

年よりのお百姓は、大あくびをしながら、それを聞いていたがおどろく風もない。「なぁに、おれにはこんなお守りがあるわい」と言って、ちょんまげの中に手を入れて、何らや取り出した。

それは戸隠神社からいただいた九頭龍のお札であった。九頭龍は蛇族の頭である。だから、さすがの大蛇も年よりの百姓を飲みこむことができなかったというわけである。

それからは、若い男もさっそく年よりの男のまねをしたそうである。

大蛇と二人の百姓の絵

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